【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?


今……なんて?


あの日、お父さんが助けたのは、葵くんのお母さん……?



「母親……?」



まるで信じられないといった表情で、葵くんを見つめるしかない八雲先生。



「俺まだガキだったけど、今でも母さんが話してくれたこと鮮明に覚えてる。母さんを先に助けてって、言ってくれたんだ」


「まさか、晴花が……?」



頷いた葵くんに、眉の皺を深く刻んだ八雲先生が声をあげる。



「……やめろよ、そんな見え透いた嘘。都合のいい嘘であの男をかばうつもりか?」


「嘘じゃないよ、先生」

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