【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
お父さんもリハビリを頑張ったおかげで、もう仕事へと復帰を果たしている。
今日も一日警察官としての誇りを持って、街へ繰り出しているだろう。
「ねぇ、お母さん」
「なぁに、空?」
「あの手紙、もうこないと思うよ」
私は玄関で靴を履きながらポツリとお母さんに言った。
しばらく目を丸くして私を見ていたお母さんは、静かに頷いた。
「……そうね。きっと、間違えていたのかもしれないわね」
「うん。大丈夫だよ、お母さん」
私はハッキリとした口調で答える。
「それに、お父さんはやっぱり私のヒーローだからね」
口にすると、今すぐお父さんに会いたくなってしまった。
次の休み、会えるといいな。
お母さんと私と、葵くんも一緒に……。