【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
……この1ヶ月。
きっとこんなにも長く感じる1ヶ月は、人生で初めてだ。
あの雨の日の事件を通して私達は傷ついて。
苦しくて、もがいて、その日を生きることで精一杯で。
だけど、たったひとつ。
誰かを愛する気持ちだけは同じだった。
私達が出逢うことは必然で、運命だったんじゃないかな。
私がそれをポツリと口にすると、
「雨野が言うなら、運命だったんじゃない?」
葵くんは抜けるような青空を見つめて、少しだけ笑った。
「───俺がいなくて、寂しい?」
不意に、葵くんが私の顔を覗き込んでくる。
「……そんなこと、ないよ」
胸のうちを悟られたみたいで、急に恥ずかしくなる……。