【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「雨野、俺のこと見て?」
ぷいっとそっぽを向いた私を、甘く強引に自分の方へと向かせる。
真っ赤になってる顔を見られたくなくて、必死に逸らそうとしたけれど、
「可愛い」
「……っ!?」
「聞こえなかった?可愛いって言ってんの。早くこっち向いてよ」
もう、ダメだ……。
思いもよらない甘いセリフに、抵抗なんてする気力は少しもなくなってしまって……。
キャラメル色の髪が風に吹かれてサラサラ揺れる。
葵くんの綺麗な瞳が真っ直ぐ私を見つめている。
そんな葵くんの瞳に、私は心奪われる。
ふわりと、柔らかい笑みを零す葵くんを見たら、もうたまらなくなって。
溢れる想いを、我慢出来そうにない。
「……好き。葵くんのことが、好きです」
ギュッと目を閉じて私は言葉にする。