【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「その方が少しは怖くないだろ?」
暗くて葵くんの顔がはっきり見えないけれど、クスッと笑った気配がした。
「今日、だけ……っ、開けとく……」
「はいはい」
子供扱いされてるみたいで恥ずかしい……。
境界線とはいえ葵くんとの距離は本当に近い。
そのせいか、さっきよりも体温が上がっている。
「……葵くん?こっち、見えるの?」
「暗くて見えないよ?」
そうだよね。
……でも、なんだろう。
葵くんがこっちに身体を向けているのが、暗闇に慣れたせいかわかってしまう。
そのせいで、変にドキドキする……。
「わ、わかった……」
「そんなに寝れないなら、俺が寝かしつけてあげようか?」
「……っ、ね、寝れるよ!!」
私、本当に違った意味で眠れないんじゃ……。
だけど、葵くんのおかげで安心した私は、いつの間にか意識を手放して夢の中におちていった。