【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「こういうこと、クラスの奴にすんのはダメだと思うよ?」
「なに言ってるの葵くんってば。それじゃ、保健委員の仕事を放棄することになるんだよ?」
……だからそうじゃないって。
「お前に触られて喜ぶ奴がいるかもしれないだろ」
「……葵くん、寝ぼけてる?」
まるで伝わってない雨野は首を傾げた。
寝ぼけてねーよ。
むしろ寝れてない。
護衛の任務に支障をきたすようなことまでするなって、ルールに追加するぞ?
「……なんでもない」
「そ、そう?ちゃんと寝ないとまた授業中におやすみモードになっちゃうんだからね?」
ムラムラした女子に襲われても知らないよ?と、わけわかんないことを付け足してくる。
席替えしてから全然寝れないんだけど。
「私もう少しだけ寝ちゃおーっと。葵くんは?」
いや、寝るのかよ。
「俺は寝ない」
「葵くんいつも眠そうだと思ってたけど、意外と早起きするんだね?じゃあ、おやすみ……!」
お前のせいだろ?
「って、もう寝たの?」
早すぎ。
子供かって。
俺の昨日の分の睡眠時間も含めて、責任とってくんない?
……なんて。
無防備な雨野の寝顔を見たら、そんなこと言えるはずもないんだけど。
もう少しだけこの寝顔を見てるのも、悪くない。