【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「海ちゃんそれって筋肉ムキムキとか?」
「レスリングで金メダルとってたりして?」
どんな人なのか海ちゃんと二人で想像していたその時、
「ぷっ……」
吹き出したような小さな笑いが私の背後から聞こえた。
「な、なに?葵くん……」
「別に?すごい強そうだね、そいつ」
振り返ると、口角を上げて笑みを浮かべる彼───葵 陽向(あおい ひなた)と目が合った。
私の後ろの席の住人だ。
「……聞いてたの?」
「嫌でも聞こえる。こんなに近いし」
「それ盗み聞きでしょ……いつも葵くん国語以外は寝てるくせに」
なぜだか国語の授業は起きており、それ以外の授業のほとんどは寝て過ごしている。