【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
違う……違うよ、葵くん。
葵くんが近いからとても読書どころじゃないんだったら。
私はそうやって心の中で悲鳴をあげるしかない。
護衛だからって、家の中でまで守ろうとしなくてもいいのに。
「あっ、葵くんこそ……私のことはいいから、やりたいこととかあったら……勉強とか、家族に電話するとか!?そ、そっちに集中してよ……」
「なんで?」
「なんでって……」
まさか聞き返されるなんて思わなかった。
「雨野にしか興味ないのに、する必要ある?」
「っ、」
だから、そういうことをサラッと言わないでってば……。
葵くんはどこまで私を困らせるんだろう。
こんな顔……もし見られたら、恥ずかしくて言い訳がつかない。
「護衛だからってそこまで意識を高く持たなくても……」
「そこまでするよ?当然じゃないの?」