シャンパンパレード
「あんた今のは酷ぇぞ!食谷さんは真剣なんだぞ!?」
「知ったこっちゃないわよ」
「あんたなぁ!」
「あ、あははっ、申し訳ありませんっ!うちのラブ先輩が、どうも〜…」
「ちょっと君、なんで謝ってんのよ?」
「ラブさんが失礼な事言うから代わりに謝ってやってんだろーが!」
「まぁまぁ2人とも喧嘩しないで下さい」
ぎゃあぎゃあお互いの顔をつねり合う2人を「人様の前でみっともないからやめなさいってば」と止めているとぽつりと食谷さんが呟きました。
「確かに貴船先輩の言う通りかもしれません…」
「え、食谷さん?」
僕が聞き返すと食谷さんは眉を八の字に下げて小さく笑いました。
「この髪だって財部がショートが好きだって言うから切ったし…私いつも人の言葉を気にし過ぎて流されてばかりなんです。…でもそんな自分を変えたくてだから少しでも痩せて女の子としてみてもらえたらなって……私本当に財部が好きだから」
「でも私のわがままで皆さんに迷惑かけてごめんなさい」と食谷さんは頭を下げてきました。
「ごめんなさいって…食谷さん、ラブさんの事は気にしなくて良いんだぜ?この人参加しなくても俺らは最後まであんたの事応援すっからさ!」
「いえ、もう充分です。私自分でなんとかしますからっ」
「あっ、食谷さんっ!」
走り去って行く食谷さんの目から一瞬確涙がこぼれ落ちたように見えた。ユウちゃんはそれを慌てて追いかけて行かれました。
「何よあの子…」
「何よじゃないでしょう、ラブ先輩?」
深くため息ついてラブ先輩を真正面から見つめると、さすがのラブ先輩も食谷さんを気にしてか少し申し訳なさげに僕から目を逸らしました。