シャンパンパレード
「今のはあまり宜しくないのではないでしょうか?自分でもお分かりでしょう?」
「…だってあの子見てて苛つくんだもの。うじうじしててさ…好きなら好きって言っちゃえば良いのよ…」
「ラブ先輩も直ぐに素直に好きだと言えましたか?ずっと片思いしていた相手に」
「……」ラブ先輩は黙ってしまった。
きっとあの時の事を思い出しているのだろうと思いました。
『いいい言えるわけないじゃない!すすす好きだなんて!言えたら苦労してないわよ!』
1年前。ラブ先輩がLOVE応援部に入る少し前の事。
僕とユウちゃんのたった2人きりの部室に『私の恋を手伝って!』と入って来たのは学園中で高嶺の花として有名で男女問わず人気者のラブ先輩だった。
いつも人を寄せ付けない他の人とは違うオーラを放つクールな表情しか見せない彼女があんなに真っ赤になって普通の女の子らしい表情をして部室に入って来たのを見た時は僕もユウちゃんも心底驚きました。
『助けてちょうだい!』
なんでも完璧に出来る人にも1人では出来ない事があるんだと知って僕らはラブ先輩の恋愛を応援しました。
けれど結局思いを伝えた相手にはもうすでに彼女がいらっしゃってあれだけ頑張ったラブ先輩は見事玉砕。
だけど『今日までありがとうっ』って泣きながら笑って言ってくれたラブ先輩はとても良い顔をしていました。
「すぐに言えなかった…私も」
「だから今度は自分のような人を助けたいって貴方は応援部に入られたのでしょう?」
「…うん」
「それなのに、あんな突き放し方して良いんですか?」
「ううん、ダメ。あの子を応援してあげなきゃダメよ」
今度はしっかり僕の目を見て答えたラブ先輩に僕は笑みを返しました。