わたしには刺激が強すぎます。
「やばい女と付き合ってるとか。泣かせた女は星の数。この前は5股かけてたのバレたって。」
それは私の学年ではとても有名な話。
尚くんの噂は、そういうことに疎い私の耳にも入るくらい飛び交っている。
「知ってるけど…」
その噂があながち間違いじゃないことも、本当は5股じゃなくて8股だってことも、もっとやばい尚くんの恋愛感覚ことも、昨日知った。
その上で、私は尚くんを好きになったんだ。
あの獣みたいな瞳に、恋をしてしまったんだ。
「わかっていてもコントロールできないのが恋でしょう!?」
それっぽいことを真顔で言った私を、ゆりちゃんはさっきより強い力で叩いた。
「だまれ恋愛処女」
「ひ、ひどい言い方!」
ゆりちゃん、今日はいつもに増して冷たいよ…!