斜塔
「進也君…」
奈緒は泣きそうな顔で私を見る。
私は奈緒に尋ねた。
「あの後、どうやって助かったか分かるか?」
奈緒は覚えている範囲で、あれから起こったことを話してくれた。
私達が落ちたのは、やはり隣りのビルの上だったらしい。
幸いそのビルは30階建てで、おまけに屋上には園芸用の土が盛られており、私達はその上に落ちたので助かったようだ。
出来すぎたような話しだが、事実なら運が良かったとしか言いようが無い。