恋のお話。
入学した時から一目惚れして半年。やっとやっと隣の席になれた津野くん。
素っ気なくて、女子と喋っているところなんか見たことなくて、…きっかけが欲しくて。偶然忘れ物をしたあの日から、私は忘れ物魔になった。

「和田。」

視線は前に向いたまま、低い声をさらに低くして津野くんが私の名前を呼ぶ。

「はいっ。」
「視線がウザい。」
「…はい…。」

くそ、バレてたか。素直にノートを取ることにする。先生の話は今日も単調で眠くなるけど、必死に堪えて文字は丁寧に書く。

津野くん気づいて。
いつ見られてもいいように、綺麗な字だってまとめ方だって考えてる。
ちょっと意識してくれるかなって、シャンプーだっていい匂いのものを選んでる。
モテ仕草って聞いたから、髪を耳にかける仕草だって、萌え袖だってしちゃう。

…気づいてって思うけど、多分津野くんは知らん顔なんだよね。
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