冷酷王子は子リス姫を愛でる
ムースは冷たい方が美味しいので、ほんの少しだけ魔法で冷やす。



他のものは暖かいうちに食べてもらいたい。



そんな願いは叶わずに、運んでいる最中に冷えてしまった。



執務室の前には、アレンさんと色違いの騎士服を着た騎士さんが2人。



「話は伺っております。どうぞ、中へ」



両手が塞がっていたので、ドアを開けてもらった。



初めて入った執務室は、書類や本で溢れている。



アレンさんも手伝っていたのか、ペンを持って書類に向き合っていた。



「もうそんな時間ですか。何をお作りになられたのです?」

「いろいろと…。お恥ずかしいのですが」

「ものすごくいい匂いがしますね。腹が減ってきました」

「アレンさんもどうぞ?たくさん作ってしまったので。外の騎士さんにもお裾分けできます?」

「いやぁ、そんなことしたら殿下が妬きますので」



アレンさんがそう言うと、殿下は書類の束を纏めて、強めに机に置いた。



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