冷酷王子は子リス姫を愛でる
夜になり、呼ばれた場所は殿下の自室。



ここ、苦手です…。



ふたりきりにされるし、最近の殿下は距離が近いし…。



「失礼いたします」



中に入ると、殿下はいつもの姿ではなく、寝る準備も整っていたようだった。



これは…またレアな姿…。



「ナイトドレスではないのか…」

「なんのガッカリですか…」

「すまないな、こんな格好で」

「もしかして…お加減が良くありませんか?」

「あぁ、少しな」



料理を持ってきたことを後悔した。



顔色はあまりよくないようで、時折眉間にシワが寄る。



「で?用があったのだろう?」

「その前に、隣に行ってもよろしいですか?」

「隣と言わず、ここでもいいぞ」



膝の上をポンポンと叩く殿下は、冗談が言えるのだから、まだ大丈夫なんだろう。



だけど、これが私のここにいる意味。



殿下の手を取り、魔力を送り込む。



どうか、楽になりますように…。



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