冷酷王子は子リス姫を愛でる
数回のノックの後、執事さんがドアを開けてくれて中へ入った。



見たことのない可愛いベッドに、ルイ様が横になっている。



腕には包帯、顔も傷がついている。



「兄様‼︎キャサリンお姉様‼︎」

「おっ、先ほどより元気があるではないか」

「お薬を飲んだら、痛くなくなりました」

「そうか、でも、薬が切れたら痛くなるな」

「それは…我慢します…。僕、兄様たちみたいに強くなるのです」



そういうことね。



アンドリュー様が痛みと引き換えに教えたかったことって。



「ルイ様、美味しいご飯、ですよ」

「うわぁ‼︎すっごい‼︎」




目を輝かせたルイ様は、起こした体をユサユサと楽しそうに揺らす。



ご飯を食べたら、治してあげますからね。



ベッドから降りて、すごい勢いで食べる姿は『子どもだなー』と微笑ましく感じるもの。



「これはクマ?」

「クマのハンバーグです。こっちの旗は、料理長が描いてくださったのですよ」

「僕?料理長、下手くそだ」

「ふふふっ、私も同感です」



『ルイ様に似ているだろ‼︎』と、残念なルイ様を描いた料理長の気持ちが篭った小さな旗にも、ルイ様は喜んでくれた。



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