冷酷王子は子リス姫を愛でる
今日は王家から街のあちこちで酒が振る舞われると聞いた。



こんなにめでたいことはないと、国中がお祝いムード。



パーティでは、ブルーのドレスにお色直しをしたキャシーと一曲踊る。



そういえば、初めてだな、踊るのは。



「うまいな、キャシー」

「そうですか?体を動かすのは好きなので」

「なるほど。ここで発揮されるのだな、野生児の力が」

「そうですわ、殿下」

「…………」

「あら?いかがなさいました?私もからかわれてばかりではプライドが傷つきますのよ?王太子殿下」

「そうか、そんなに見せつけたいのだな」

「なっ⁉︎」



キスすれば、真っ赤な顔で固まり、周りからは冷やかすような声が聞こえる。



バカだな、こうなることを、そろそろ学んだ方がいい。



「今日は眠らせる気はない。覚悟しておけよ?」

「あぅぅぅぅ…」



それから真っ赤な顔は冷めることなく、俺とキャシーは早めに会場を後にする。



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