冷酷王子は子リス姫を愛でる
目の前に差し出された首筋にキスをすると、ビクリと体が震えた。



「そんなに固くなるな」

「だって、わかんない…。どうしたらいいの?」



涙目で、俺を煽る。



デイジーの助言なんか、どこかへ吹っ飛んでしまう。



「素直になるだけでいい。嫌がる事はしたくない。でも、俺も限界だ。その気持ちだけは、わかってもらいたい」



小さく頷いたキャシーにキスをして。



初めて触れた素肌に、過剰に反応する体が愛おしくて。



このまま縛り付けて、俺だけのものにしたい。



もう、誰にも見せたくない。



「いたっ…」

「キャシー、こっちだ」

「んっ…」



俺から離れられなくなればいい。



お前が他の男に笑いかけたら、その男を殺してしまいそうだ。



俺のキャシーを見るなと、目を潰してやりたくなる。



「アンディっ?」

「…………ん?」

「瞳が…黒い」

「えっ?」

「大丈夫…?」

「いや、わからない…。俺は…何を…考え…」

「大丈夫、大丈夫だよ?キスして、アンディ…」



黒に、飲まれかけた気がした。



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