冷酷王子は子リス姫を愛でる
瞬きが多くなってるキャシーは、周りを見渡してやっと意味がわかったようだ。



ここは港町。



リッカーへ行く船に乗った港だ。



「便利すぎますっ‼︎」

「いいか?今から俺とお前は一般の民だ。間違っても『アンドリュー様』なんて呼ぶなよ?」

「あっ、はい‼︎で…?これからどうするのです?」

「時間はたっぷりある。普通の宿に泊まり、普通に食堂でご飯を食べる」

「それ、絶対楽しいです‼︎」



普通のカップルのように、とにかく普通に。



初めて入った安宿は、食事もなければ寝るだけ。



物置よりも小さい部屋は、小さいベッドがひとつだけ。



「こ、ここで寝る…の、ですよね?」

「あぁ。風呂はないそうだ。近くに大浴場があるそうだが…入り方がわからないな…」

「私もさすがにそんな経験したことないです」

「はははっ、俺たちは街に住めないのか?」



どうやら、俺たちの感覚と普通の生活はかけ離れているようだ。



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