冷酷王子は子リス姫を愛でる
だけど、潮風に当たってベタついた体を流したい。



とりあえず、風呂の用意をしようと思う。



「タオルと洗面器…あと、髪と体を洗う石鹸を買えばいいのでしょうか…」

「そうだと…思う」



宿の亭主に聞いたら、石鹸は浴場に売っているとのことだったので、タオルと洗面器のような桶を買った。



旅に出ても、宿に風呂はついていたし、石鹸なんかは当たり前のように準備されていたし。



それも、俺の立場だからなのだと、初めて知った。



「では、あとで」

「あぁ、戦ってくる」

「私も戦ってきます」



男女で分かれている風呂へ、ふたりで別々に向かった。



中には服を脱ぐ場所、体を洗う場所。



城の風呂より狭い風呂に、大人数…。



これはやっぱり、戦いだ…。



慣れてそうな年寄りの真似をして、なんとか風呂を攻略した。



ものすごく、疲れた…。



キャシーがなかなか来なくて、外で待っていると、ドンっと軽い衝撃。



「ごめんなさい…」

「いや、こちらこそすまない」



子どもにぶつかられた。



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