冷酷王子は子リス姫を愛でる
帽子を深く被り、目が茶色に近いグリーンの男の子ども。



「ケガはないか?」

「ないです。ごめんなさい」



そう言ってバタバタと走り去った。



すぐに出てきたキャシーが、疲れ果てているので、とりあえず何かで水分補給を…と。



「財布が…ないのだが…」

「えっ⁉︎」

「確かにここに入れたはずだ」



浴場の受付のようなところで貴重品を預けて、帰りに受け取った。



中の確認もしたし、落したら音で気付くくらいの金貨や銀貨は入ってたはずなのに。



「どうしましょう…」

「あぁ、わかった。これが噂に聞くスリというものか…」

「犯人、わかったのですか⁉︎」



さっきの子どもか。



顔も服装も、特徴も覚えている。



飛ぶか。



「キャシー、つかまれ」

「は、はいっ‼︎」



財布をなくしたなんて、恥ずかしくてアレンに言えるはずがない。



さっさと探し出して、庶民気分を満喫したいのだ。



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