冷酷王子は子リス姫を愛でる

オオカミと父と息子

【キャサリン】



目の前にいるのは、7、８歳の子ども。



深めにかぶった帽子に、薄汚れた服。



アンドリュー様を見て、完全に怯え切っている。



「ごめん、なさいっ…。どうか、衛兵に突き出さないでくださいっ‼︎なんでもしますっ‼︎ごめんなさいっ‼︎」



泣きながら訴える姿は、スリを働くような悪い子には見えない。



これは演技？



「この国では窃盗罪は軽いのではないか？確か、強制労働を盗んだ分だけだとか。何年かかるだろうな、この金額だと」

「なんでもしますっ‼︎ごめんなさいっ‼︎」

「なぜ、盗んだ」

「…………お腹が、空いていて…」

「いつもこうして盗んでいるのか」

「子どもは働かせてもらえないっ‼︎お金がないから…食べられなくて…」

「親は？」

「俺を…売ったから。俺は…そこから逃げたから…」



話を聞くと、奴隷商人から逃げてきたと。



もしかして…。



「あなた、獣人なの？」

「そうだ…。文句あるか‼︎殺すなら…殺せっ‼︎だけど捕まるのはイヤだ‼︎また…戻るのはイヤだっ…」



奴隷にはなりたくないと。