冷酷王子は子リス姫を愛でる
ひんやりとした空気が頬を撫でる。



「キャシー?吐きそうか?」

「ん、お水…」

「今持ってくる」



どこかに降ろされ、重くなったまぶたを必死に開ける。



ここは、私とアンドリュー様のお部屋…?



「飲めるか?」



頷いて体を起こして。



状況がやっと理解できてきた。



アンドリュー様が、私をデイジーのお部屋までお迎えに来たんだ…。



コクっと水を飲むと、冷たくておいしい。



頭が覚醒していく気がする。



でも、どうしてアンドリュー様がいるの?



暖炉に手をかざして、魔法石に火を灯したアンドリュー様が、膝掛けを手に私の隣に座った。



「大丈夫か?」

「大丈夫…」

「ははっ、ずいぶん眠そうな顔をしているな」

「眠い、です…」

「イヤな思いをさせてしまって、申し訳ない」



謝ることじゃないの。



これは、アンドリュー様の仕事の一つなんだもの。



私がわがままなだけなの。



「アンドリュー様は、悪くない」

「そう言ってもらえると、少しは気が楽になる」



本来ならば、絶対言ってはいけないことなの。



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