冷酷王子は子リス姫を愛でる
態度に出してもいけない。



だけど、私はそんなに大人ではない。



「マリアンヌ様に…触らないでっ…」

「ん、わかってる。わかってるよ、キャシー」

「イヤなのっ‼︎誰にもあげたくないっ‼︎私がズルいこと言ってるのはわかってる‼︎だけど、私だけ愛してほしいのっ…」

「愛してるのはキャシー、お前だけだ」



抱きしめられると、いつもと違う匂いがした。



マリアンヌ様の香水…。



移り香…。



あぁ、心が粉々に砕けてしまいそう。



「ヤダっ‼︎」



ドンっと、アンドリュー様を突き飛ばした。



驚いた顔をするアンドリュー様に、マズイと思っていても気持ちを誤魔化すことができない。



その香りのする体で、私を抱きしめないで。



「キャシー…、信じるかどうかわからないが…マリアンヌとは、何もしていない」

「えっ…」

「鼻からする気もなかったし、生理的にムリってやつか」



伏せられた目が、とても悲しそうに見える。



ムリ…だった…。



それは、信じてもいいの?



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