冷酷王子は子リス姫を愛でる
【アンドリュー】



マリアンヌの部屋へ行ったのは、父と宰相からの指示だった。



他国の姫であるマリアンヌを蔑ろにしすぎだと。



それはもっともな意見だし、ここに留めて数ヶ月、手すら握っていないなんて許されないと。



『アレと子作り?ふざけないでいただきたい。私はそこまで無神経ではないので』



そう言ったが、体裁的な問題でマリアンヌの部屋に行けとの命令が下ってしまったら、さすがに逆らえなかった。



夕食でキャシーにその話をしたら、泣きそうな顔が笑っていたのだ。



ムリだと、初めからわかっていた。



そんな顔をされたら、余計にムリなのだ。



「アンドリュー様っ‼︎お待ちしておりました…」



部屋に入るなり抱きつかれて。



冬だというのに派手なガウン一枚のマリアンヌ。



顔は美人の部類に確実に入るマリアンヌだが、心は腐っていることを知っている。



毒入りケーキに、嫌がらせの手紙。



さらにはマリアンヌの国の王にまでキャシーのことを悪く言っていた。



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