冷酷王子は子リス姫を愛でる
髪が濡れたまま部屋に戻ると、キャシーはソファーで丸まって眠っていた。



そっと抱き上げてベッドに下ろし、布団をかける。



頭を撫でると、気持ちよさそうにふにゃっと笑って。



体に残る薬の影響は無視することにする。



抱き潰したい衝動を抑え、隣に横になり抱きしめて眠った。



目が覚めると、昨夜の薬の副作用か頭が痛い。



最悪だな、マリアンヌ…。



スルスル指から抜ける茶色いキャシーの髪で遊んでいたら、腫れた目が俺を見て驚いている。



「なんっ…どうして⁉︎えっ、デイジーのお部屋…」

「覚えてないのか?」

「覚えて…あぁ、夢ではなかったのですね…」



またじわっと涙が目に溜まる。



そんな顔、させたくなかった。



キャシーにふりかかる悪を全て取り除いてやりたかった。



守ると誓ったのに、何も守れてないではないか…。



俺がいちばん守りたいのはお前の笑顔だというのに。



「どうして、お泊まりにならなかったのですか…?」



全てを話した。



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