冷酷王子は子リス姫を愛でる
頭が痛いと言ったら、久しぶりにキャシーが俺を癒してくれた。



スーッと消えていく痛みと、暖かい手の温もり。



「子ども、急ぐか…」

「えっ?」

「それがいちばん、上を黙らせることができる方法だからな」

「だ、だけどっ‼︎アンドリュー様、忙しいしっ‼︎」

「俺が部屋に戻るまで起きて待っててくれ。あっ、昼間でもいいなら仕事の合間に抜けてくるが」

「昼間っ⁉︎むむむむ、ムリっ‼︎」



よし、これで何事もうまくいく。



まずはマリアンヌだ。



「アレン、アイツは?」

「地下に幽閉しています」

「会いに行く」



地下には簡素な部屋があり、マリアンヌはそこにいた。



ただ座って、遠くを見つめて。



「おい」

「アンドリュー様…」

「どうしてほしい?」

「国に…返してください…。私がしたことは死罪に値すると、宰相様から説明を受けました…。死ぬくらいなら、どうか国に…」

「悪かった。お前を愛してやることもできず、罪人のように扱っている。お前が苦しんだのは、俺もわかっている」



滝のように涙が流れている。



< 318 / 440 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop