冷酷王子は子リス姫を愛でる
影ではいろいろと企んでいただろうし、本当ならこのまま国に返すだけなんて緩い。



だけど、マリアンヌをこうして追い詰めたのは紛れもなく俺なのだ。



「北の果てにソールズという国がある。年中雪に埋もれているような場所だ。側妃を探しているとのことだ。そこの王は40過ぎているが、寛大でとても慈悲深い。行くか?」

「どんな顔をして行けばいいのかわかりません…」

「国に帰ったら、お前の引き取り先はないぞ。シュナウトで罪を犯した姫なんか、どこも欲しくない。そういうレッテルがマリアンヌには付き纏う。選べ、お前がいい方に」



ポタポタと涙を流しながら『そこへ行かせてください』と小さな声で返事をした。



これが最善。



こんな場所にいるより、そちらへ行った方がいい。



「手続きが終わり次第、向かってもらう」

「父は…なんと思うのでしょうね…。妃にもなれず、城からも追い出された娘を…」

「さぁな」

「アンドリュー様は、私の想像と全然違っていたのですね…。冷酷で無慈悲で…残忍な王子ではなかったのですね…」



丸め込めると思ったのだろう。



キャシーに出会わなければ、お前が正妃だったよ。



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