冷酷王子は子リス姫を愛でる
ガチャっとドアが開くと、モスグリーンの頭が下を向きながら入ってきた。



「おじゃましてるわ、ジェード」

「うわっ‼︎び、ビックリした…」



見事にボロボロになっている。



イジメられたのね…。



汚れた顔をハンカチで拭いてあげた。



じわっと涙がたまる大きな瞳。



両手を握り、治癒の魔法をかける。



「痛いところはない?」

「なく、なった…」

「よかった。ジェードにお菓子を持ってきたの」

「お菓子…?」

「一緒に食べましょう」



午前中に気分転換に作ったの。



この国にはないようだし、あまり作れる人はいないと思う。



「これは…?」

「アイスよ‼︎」

「白い…」

「召し上がれ」



外は雪が降り始めている。



小さな暖炉の魔法石に魔力を込め、火力をあげた。



「冷たいっ‼︎雪みたい…」

「お口に合った?」

「はい‼︎これ、うま…おいしい‼︎大好き‼︎」



ニコッと笑った顔に一安心。



私が冷凍術を使えるから簡単に作れるような代物。



きっと疲れているだろうジェードを、少しでも癒してあげたかったの。



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