冷酷王子は子リス姫を愛でる
元は孤児でスリをして生計を立てていたジェードだものね…。



いたずらは上手なんじゃないかしら…。



「お疲れ様、小さな騎士さん」

「お腹がペコペコです‼︎」

「食堂があるのよね?私も一緒に行っていいかしら」

「うん?ご飯食べましょー」



初めてだ、食堂。



気になってはいたけど、来る機会もなかったし。



「リーナ、料理長に夕食はいらないと伝えて来てくれる?」

「わかりました」



私とジェード、そのまま一緒に来たファーガス隊長が食堂へ入ると、すでにご飯を食べている兵士たちが急にざわつき、立ち上がって胸の前に手をかざし、頭を下げる。



この国の騎士の礼を全員にされて、恐縮してしまう。



「ああああ、頭を上げてっ‼︎私のことは空気だとでも思ってほしいのでっ‼︎」

「正妃様、それはムリですよ…。王族がこんなむさ苦しい場所に来ること自体滅多にないですから…」

「アンドリュー様は来ないのですか?」

「最近はお忙しいようで、顔を出す程度です」



そうなのか。



アレン様はよく来るんだって。



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