冷酷王子は子リス姫を愛でる
だけど、わかってほしかった。



キャシーの立場や、周りの人間のこと。



自分の振る舞いで、周りに迷惑がかかることを。



もしキャシーになにかあったら、俺が許したとしても、周りが黙ってはいない。



シュナウト王国の王太子妃とは、そういう存在なのだから。



「言い過ぎた…」

「アンディがそんなにへこむの、初めて見た」

「あぁぁぁぁぁぁ…。会いたくない…」



どんな顔をするのだろう。



嫌われたかもしれない。



もう、目も合わせてくれないかも。



そう考えると、怖くて会いたくない。



しかし、馬車は着実に歩みを進め、城についてしまった。



「おかえりなさいませ、アンドリュー様。長旅ご苦労様でございました。お体に変わりはございませんか?」



ニッコリ笑ったキャシーに出迎えられ、呆気に取られる俺。



なぜ、笑っているのだ…?



まさかまだ食堂へ行ってるのか?



「変わりはない」

「よかった。お部屋で疲れを癒して差し上げますね」



リーナに聞くか…。



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