冷酷王子は子リス姫を愛でる
キャシーが食堂に顔を出さなくなって、兵士たちが沈んでるとのことだった。



ふざけるな。



俺のキャシーだぞ。



さすがに王太子妃に手を出そうとする命知らずはいないとは思うが…。



「正妃様さえよければ、たまに食堂に来て元気な顔を見せてはもらえないだろうか」

「なんだと?」

「ファンが多いようだし。あんなに親しみやすいお姫様も珍しい。みんな、あの笑顔に癒されていたのは確かだ」

「ダメだ。キャシーが減る」

「減らないだろ…。どんだけ溺愛してるんだ…。噂以上だな…」



どうしたらいいのかわからない。



まず、妃が炊事場に立つなんて前代未聞だし、まして一般の兵士に飯を出すなんて聞いたこともない。



前例が…という言葉は好きではないが、立場がある。



そういうことをしてはいけない立場なのだ。



「アンディが悩むのもわかるけどな。そんなに難しく考えることか?同じ城で働く者同士、仲良くして悪いことはないと思う」



ファーガスの言いたいことはわからんでもない。



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