冷酷王子は子リス姫を愛でる
あれだけ怒鳴ってしまったのに。



今更食堂通いを許したら、機嫌をとっているみたいではないか。



「ファーガス、ならばお前にはアレンの仕事の手伝いもしてもらう」

「余裕余裕、任せてください王太子殿下。兵士の士気を上げてくれるなら安いもんだ」



頭が痛い問題だ…。



部屋に戻る途中、なんと説明するかと頭を悩ませたが、全くいい案は思いつかなかった。



「あっ、おかえりなさい」



ニッコリ笑うキャシーに、なんと話を切り出せばいいかわからない。



機嫌取りだと思われるよな…。



しかも、なぜか刺繍なんかしてるし…。



キャシーに刺繍の趣味があるなんて聞いたことがない…。



「何を作っているのだ…?」

「ジェードのハンカチに名前を入れてあげたくて。苦手なのですよね、こういう細々した作業」

「ジェードのことならメイドに頼めばいいのではないか?」

「そう、ですね。私よりも上手な人にお願いした方がいいですね…」



好きでやっていることではないようだ。



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