冷酷王子は子リス姫を愛でる
以前の俺なら、こんなヤツでよかった。



ただ、アイツに出会ってしまった。



俺の隣は、リスのような彼女にしか立ってもらいたくはない。



「探ろうとしてもムダだ。時が来ればわかること」

「しかし…、他の方をお呼びになったことはないのですよね?」

「あぁ、お前が初めてだ」



それで満足したのか、嬉しそうにしていた。



俺に怯えず、自分の欲望しか見えていない。



マリアンヌは、そんな印象しか残さなかった。



夜には公爵令嬢とディナー。



優しそうな顔をしている。



「デイジーと言ったな」

「はい」

「お前の趣味はなんだ?」

「読書と音楽を少々。殿下の楽器の腕は見事だと聞きました」

「やらされていただけで、特に好きではない」

「なんでも熟すのですね。さすが殿下です」



可もなく不可もなくといったところ。



『側妃でいい』と、顔に書いてある。



コイツはいい。



問題はなさそうだ。



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