人魚のお姫様
「母上、俺の結婚相手はこの女性です。俺はこの女性以外とは結婚する気はありません」

ディランの目は本気だ。エラは慌てて口を開く。

「エラ・カッシングと申します。あの、急にそう言われて連れて来られーーー」

事情を説明しようとしたエラだったが、それは叶わなかった。なぜなら、ディランに素早くキスをされたからだ。

「んんッ!」

エラに何度もディランはキスをする。優しいキスを何度もされ、エラの頭はクラクラした。

「……わかっていただけましたか?」

キスシーンを見せられ、顔を赤くする使用人たちと王妃にディランは笑いかける。エラは息を吸うのに必死で事情を説明することはできなかった。

「ど、どう見ても庶民ではないの!!」

王妃は顔を真っ赤にしながら怒鳴る。ディランは意地悪に笑った。

「では、俺はこの女性と結婚するので王子の座は捨てます」

ディランの言葉に王妃の顔は真っ青になる。

「それはなりません!あなたはこの国でたった一人の王子であり、王族の子孫なのです!王宮を捨てることは許しません!!」
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