人魚のお姫様
この場所に集められたのは、世界の国々からやって来た王女様たちだ。エラよりも教養があることは間違いない。

「あなたはどこの国の方ですの？」

近くにいた王女に話しかけられ、エラは「えっと……」と言葉に詰まる。その時、王妃とディランが大広間に入って来た。その刹那、先程までは話し声があった大広間が静かになる。

「みなさま、よくお集まりくださいました」

王妃が微笑み、話す。王女たちの顔には緊張が走っていた。誰もが王子と結婚したいのだ。

「本日は、ディランとお見合いをする予定でしたが少し予定が変わりまして……」

王妃の言葉に、王女たちが戸惑ったのがエラにはわかった。王妃は話しながらエラを見つめ、言った。

「誰がディランに相応しいのか、勝負を行いたいと思います」

大広間は先程とは打って変わって騒がしくなる。当然だ。

「一つ、言わせてもらおう！！」

騒がしさがなかなか収まらない中、ディランが口を開く。顔を見合わせ、話していた王女たちは一斉にディランの方を見た。
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