人魚のお姫様
「危ない!!」

子どもの声が聞こえた刹那、エラの体に何かがぶつかる。エラが後ろを見れば、泥だらけのボールが足元に転がっていた。

「すみません!」

まだ七歳くらいの男の子たちがやって来て、エラに何度も謝る。エラの着ているマキシ丈の上品な白のワンピースは泥で汚れてしまった。

「気にしないで。大丈夫よ」

エラがそう微笑むと、男の子たちの頰が赤く染まる。エラはすぐに家に戻った。すぐに洗えばシミにはならないはずだ。

「あら、お帰りなさい」

エラが家に入ると、エラと同じく水色の髪をした女性が現れる。そこそこの年齢のはずだが、見た目はずっと若く見える。エラの母だ。近所では美魔女と密かに言われている。

「ちょっと服が汚れちゃったの。お風呂に入るわ」

「わかったわ。着替え、出しておくわね」

「ありがとう」

背中の泥が気持ち悪い。エラは脱衣所で服を脱ぐと、汚れたワンピースを手にお風呂場に入る。
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