人魚のお姫様
『いつか、お前を俺の嫁にする』

幼かったエラは、その言葉が嬉しくて母にすぐにそのことを話した。その時に、母が教えてくれたのだ。

「エラ、あなたは真実の愛のキスをすれば人間になれるのよ」

急にそのことを思い出し、フフッと笑う。その時だった。

「どちら様ですか？えっ、ちょっと！！」

リビングの方から、バタバタと音がする。とても騒がしい。お客さんが来たわけではなさそうだ。エラは慌ててお風呂から出て体をタオルで拭く。タオルで水を拭くと、エラの足はゆっくりと人間のものになっていった。

脱衣所には、母が用意してくれたワンピースがあった。紺色のシンプルなデザインのワンピースだ。シンプルだが、上品さがある。エラは急いでワンピースを着て、リビングへと向かった。

「お母さん？どうしたの？」

ドアを開けてエラは驚いた。戸惑うお母さんと、立派な服を着た人たちがリビングにいる。さらにソファには深い青の立派な服を着た男性が座っていた。金色の髪に青い瞳をしていて、顔立ちはとても整っている。
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