【女の事件】十三日の金曜日
第23話
5月6日の朝8時過ぎのことであった。

あきよしは、たけのりたちからよりきついイジメに遭っていたので、心身共に気力がなえていた。

あきよしは、玄関のドアを開けて外へ出ようとしていたが、足が凍りついたので動けなくなってしまった。

この時、玄関にいましたゆかこは心配そうな表情であきよしに声をかけていた。

「あきよしさん。」
「えっ?」
「どうしたの?工場へ行かないの?」
「えっ?」
「元気な顔をして工場へ行くのじゃないの?」
「行くけど…足が凍りついて…」
「足が凍りついてしまったって…」
「ああ…」

ゆかこは、あきよしが動くことができると思って、やさしい声であきよしに言うた。

「あきよしさん…今日1日がんばれば明日お休みでしょ…」
「なんだよぉ…あんたは何が言いたいのだよ!!」
「あきよしさん…今日1日がんばれば日曜日はお休みなのよ…せめて1日だけでも工場に行ったら?」

それでもあきよしが動こうとしなかったので、ゆかこはあきよしに今夜の晩ごはんのことを言うた。

「あきよしさん…今夜の晩ごはんはグラタンよ…マカロニいっぱい、チーズがいっぱいのグラタンを焼いてあげるから…きょう一日がんばってね…」

あきよしは、ゆかこがグラタンを焼いてあげるからと言うたので『オレ、がんばって行ってくる。』と言うて家を出た。

しかし、あきよしはたけのりたちからよりきついイジメに遭ってしまった。

あきよしは工場をやめたいと思っていたが、ゆかこから『今夜はグラタンを焼いてあげるからがんばってね。』と言われたので、仕方なくがまんして、段ボールの折り畳みの仕事をしていた。

たけのりたちは、あきよしをいじめて現金を奪い取った後、職場放棄をして作業着を着たまま遊びに行ってた。

しかし、彼らは近所の奥さまにケータイで動画を撮影されたあと、周辺に拡散していると言うことには気がついていなかった。

近所の奥さまは、たけのりたちが職場放棄をして遊びに行くところを見たことをゆかこに言いつけに行くと決めた後、ゆかこが行きそうなところへ向かった。

ところ変わって、国道192号線沿いにありますフジグランにて…

時は、午後3時過ぎのことであった。

ゆかこは、食品売り場でグラタンを作る材料を買いそろえていた。

ゆかこは、あきよしが元気な顔をして工場へ行ったので、元気な顔をして帰ってくる表情をみたいので、たまらなくなっていた。

ゆかこは『いつもより多くマカロニを増やしてあげようかなぁ…』とか『チーズは多めに買おうかな…』などと思いながら楽しい表情になっていた。

そこへ、まさのりの家の近所で暮らしている奥さまがゆかこのもとへやって来て、ゆかこに言いがかりをつけに行った。

「今夜はお手製のグラタンを作るので、とても楽しそうなんやね…」
「えっ?」
「ああ…ごめんなさい急に…」
「えっ?あなたは?」
「あんたゆかこちゃんやったね。」
「ええ。」
「ちょうどよかったわ…あんたはたけのりのいとこだったよね。」
「たけのりさんは…いとこですが…」
「あんたやからボロクソに言わしてもらうけど、たけのりさんはいつ頃からギャンブルに狂ってしまったのかしらァ…」
「ギャンブル?」
「そうよ。」
「えっ?聞いていませんけれども…」
「あっそう…なーんもしらんのやね…ほんなら、あんたの幸せをボロメタに壊すわよ。」
「奥さま!!奥さまはうちにいいがかりを就ける気なのですか!!」
「ええ、そのつもりよ!!あんたのイトコがギャンブルに狂ってパッパラパーになってしまった原因は、全部あんたにあるのよ!!そのことがまだ分かってへんみたいね!!あんたね!!たけのりさんたち3人のきょうだいの学資保険ドロボーしておいて、ヌクヌクとしていられるわね!!」
「やめてください!!奥さま!!アタシは一生懸命になって、あきひろさんのご家族に気に入られたいから一生懸命になって努力しているのに、アタシたちの家の家族をボロクソに言うなんてあんまりだわ!!」
「あんまりはどっちなのかしら!!ほんなら、あんたが中学の時のことをばらすわよ!!あんたが中学の時にニンジンさわぎを起こした…その際に、赤ちゃんを学校のトイレの水たまりに産み落としたあと、近くの金生川に赤ちゃんを棄てていた現場をガメラで撮影したわよ…その写真をあんたのダンナが勤務している職場に持って行くわよ!!」
「やめてーーーー!!」

ゆかこは、近所の奥さまから中学の時に赤ちゃんを学校のトイレで産み落としたあと、金生川で始末していた場面をカメラで撮影したことを言われたので、怖くなって叫び声をあげた。

「イヤ…やめて…」
「やめてと言うのだったら…ちょーだい。」

近所の奥さまは、ゆかこに右手を差し出してカネを出せと言うた。

「ちょーだいって…」
「決まってるでしょ…口止め料よ。」
「口止め料…」
「少しだけでいいのよ…アタシ、パチンコで負けてスッテンテンになったのよ…シュウトの年金をくすねた分もふくめて…ちょーだい。」

ゆかこは、奥さまにグロウされたのでワーッとなって、奥さまをつきとばして倒したあと、右足でけとばした。

「何するのよあんたは!!」
「それはこっちのセリフよ!!よくもアタシの過去の遍歴をばらまこうとしたわね!!こっちも仕返しに、あんたのシュウトが新居浜のキャバクラの女にてぇ出して、店長からきつい暴行を受けて、すっぱだかの状態でケーサツに保護されたことを息子の職場にばらしたわよ!!あんたの息子は来週の月曜日に査問委員会にかけられて、役職をうしなうから覚悟しておきなさいよ!!」

ゆかこは、近所の奥さまをパンプスでけとばしたあと、買い物かごを載せているカートを置き去りにして、店の外へ出て行った。

近所の奥さまはキーッと怒っていたので、ケータイを取り出して、ゆかこが過去に起こしたあやまちを撮影した写真をサイトにアップしていた。

ゆかこはあきよしに言うていたグラタンを作ると言うヤクソクを破ったので、晩ごはんを作ることができなくなったので、家に帰った後、ゆかこは義母にわびることにした。

夕方5時過ぎのことであった。

ゆかこは、グラタンの材料を買うことができなかったことを義母にわびたが、義母はものすごくあつかましい声でゆかこに言うた。

「あんたなにを考えとんかしら!!ゆかこさんは、どこのどこまで人をグロウする気でいるのかしら!!あやまれば許してもらえると思っていたら大きな間違いよ!!」
「義母さま!!アタシだって、気持ちが迷う時があるのです!!あの時、最初グラタンにしようと思っていたけれど、急に気持ちが変わってしまって…」
「いいわけばかりを言わないでちょうだい!!もういいわよ!!今夜はあきよしがお昼に注文している手作り弁当を作っているお弁当工場に電話するから…ゆかこさんのおやきょうだいや親類がナマケモノだからゆかこさんがナマケモノになったのよ!!サイアクだわ!!」

義母は、ゆかこをボロクソに言うたあと、箕浦(香川県観音寺市)の工業団地内にある工場に勤務している義父に電話をして、ことの次第を説明していた。

箕浦の工業団地内にある義父が勤務している工場にて…

義母からの電話に出た義父は、よりあつかましい声でこう言うた。

「もしもし…ワシは今頼まれた仕事をしている時なんだ!!勤務中に電話をしてくるなんてどういうコンタンなんだ!!…なにぃ…ゆかこがグラタンを作る材料を買いそろえていたのに、途中で気が変わって…やかましいんだよオドレ!!ゆかこはこの頃生活態度が悪いみたいだな!!…(舌打ちしてから)わかった…もういい!!ほんなら弁当取れ!!弁当取れ!!だけど、ワシの分は取るな…やかましい!!ワシは残業を頼まれたんだ!!今日中に仕事を仕上げて、明日の朝に出荷したいから急いでいるのだ!!オラオドレ!!人の話が聞こえないのか!?もういい!!」

(ガチャーん!!)

義父は、電話をガチャーンと切った後、仕事場へ戻った。

この日、あきひろも外で会合があるので晩ごはんは外で食べると言うたので、お弁当は3つ分注文した。

金生町下分にあるあきひろの家にて…

食卓には、グラタンではなく工場のお昼ごはんのお弁当だったので、食卓の空気がよどんでいた。

お弁当のおかずの中に、アルミの入れ物の中に少量のグラタンが入っていたので、ゆかこはやさしい声であきよしに言うた。

「あきよしさん…」
「何や…」
「お弁当の中に、グラタンが入っているわよ…おいしいお弁当を食べようね。」

(ガツーン!!)

あきよしは、お弁当の箱をゆかこに投げつけた後、より恐ろしい目付きでゆかこを見つめていた。

「あきよしさん…あきよしさんどうして!?」
「オドレ!!オドレ!!オドレ!!」

あきよしは、ゆかこを攻撃した後、部屋の中へ閉じこもってしまった。

「あきよしさん!!お弁当を食べなさい!!」
「やかましいオドレ!!疲れて帰って来た時に何やオドレ!!」

この時、あきひろがものすごく恐ろしい表情で帰って来た。

ゆかこは、一体何があったのかとあきひろに問い詰めたので、大ゲンカになってしまった。

「何や!!もういっぺん言ってみろ!!今オレに何て言うた!!」
「あきひろさん!!どうしてそんなに大声をあげて怒るのよ!!」
「やかましいオドレ!!ゆかこ!!」
「あきひろやめて!!」
「何や!!」
「あきひろ!!ゆかこさんにどうしてひどいことを言うのよ!?」
「だまれ!!ゆかこに落ち度があるからオレはおこっとんや!!ゆかこ!!」
「あきひろ!!」

あきひろは、さらにイライラとしていたのであきよしがいる部屋に入ったあと、あきよしのえりくびをつかんで強烈な声で怒鳴り付けていた。

「出て行け!!出て行け強姦魔!!」
「強姦魔だと!!」
「強姦魔は出て行け!!裁判で無罪判決を勝ちとったから神さまが味方したと思い上がりやがって…あきよし!!」

あきひろは、ワーっとなってあきよしを階段から突き落とした後、倒れてしまった上から固い棒でシツヨウに殴り付けつけていた。

「あきひろやめて!!やめて!!」
「やかましい!!あきよしは不起訴魔だからボコボコにするんや!!オラオドレ!!強姦魔!!不起訴魔!!死神!!ワーッ!!ワーッ!!ワーッ!!ワーッ!!」

あきよしは、あきひろからシツヨウに固い棒で殴られてボロボロに傷ついてしまった。

ゆかこは、あきひろがものすごく恐ろしい表情をしていたので、泣き叫ぶより他はなかった。

あきよしは、あきひろから受けた強烈な暴力が原因で蓄積されている怒りが爆発する一歩手前にまで来ていたので、取り返しがつかない悲劇を起こしてしまうのであった。
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