【女の事件】十三日の金曜日
第33話
次の日の朝7時頃のことであった。

ゆかこは、両親から強烈な声で怒鳴られてしまったことが原因で『アタシ!!バイトやめる!!』と言うてひねくれてしまった後、部屋にとじ込もってしまった。

そんな中であったが、ひろかずは工場から日曜日だけど出勤してくれと工場長から電話で言われたので、仕方なく出勤することになった。

ひろかずは、イライラした表情でリュックサックに着替えなどを詰めていた。

日曜日に急に出勤することになった理由は、工場長が10月分の仕事の量を通常の20倍仕入れたので、日曜日に休みにしてしまうと納期日の10月31日に間に合わなくなるので、10月は1日もお休みがなかった。

従業員のみなさまも、10月のお休みの予定を入れている人もいたが、工場長が過剰に受注の仕事を持って来たことが原因でしぶしぶとしていた。

工場長が『10月中に全部仕上げたら金一封を出すから…』と従業員さんに言うておいて、工場長自身がヘージツゴルフへ行ってたので、従業員さんたちの間で不満がくすぶっていた。

イライラとした表情で仕事に行く準備をしているひろかずに、母親はものすごく心配そうな表情でひろかずに言うた。

「ひろかず…ひろかず…聞こえているの?」
「なんなんや!!オレは急いでいるのだよ!!」
「ひろかず…日曜日なのにどうして工場へ行くことになっているのよぉ…」
「だからなんじゃあ言いたいねん!!工場長が金一封出すからと従業員にこじつけて大容量の受注を持ち帰ったのだよ!!日曜日休んだら納期日に間に合わなくなるのだよ!!」
「ひろかず…」
「なんや!!まだ言いたいことあるのかよ!!急がないと電車に遅れてしまうのだよ!!」
「ひろかず…電車通勤がしんどいのだったら…」
「やかましい!!電車通勤がしんどいのだったらなんじゃあ言いたいねん!!」
「電車通勤がしんどいのだったら、3軒となりの家のご主人にお願いしてあげるから…」
「やかましい!!そななことして何がしたいねん!!」
「何がしたいって…3軒となりの家のご主人は息子さんが運転する車に乗って通勤しているのよ…ご主人の勤務先と息子さんの勤務先は同じ志度にあるのよ。」
「やかましいオドレ!!(3軒となりの家のご主人)のセガレは気に入らねえのだよ!!毎朝毎朝毎朝毎朝毎朝毎朝オナゴを助手席に乗せてイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャ…毎朝毎朝イチャイチャしているのを見るのがイヤなんだよ!!オドレはそななことよりもゆかこをローヤへぶちこめよ!!お客さまのTポイントカードをドロボーしたゆかこをローヤへぶちこめと言うのが聞こえないのか!!ワーーーーーーーーッ!!」

ひろかずは両親の強烈な声でイカクした後、リュックサックを持って強烈な力でドアをしめて出て行った。

ひろかずは、マンションの駐車場で3軒となりに住んでいるご主人の息子さんが婚約者のカノジョ(ファストフード店の店員)を車に乗せて出勤しているのを見たので、気持ちがイライラとしていた。

ひろかずは、3軒となりの家のご主人の息子さんが毎朝カノジョと一緒に楽しく出勤しているのに、自分だけはことでんを乗り継いで遠距離通勤をしているので、気持ちがしんどいと思うようになっていた。

家からことでん円座駅~ことでん志度駅からタダノの工場まではそんなに遠くはなかったが、途中の瓦町駅の本線のプラットフォームから志度線のプラットフォームへ向かう通路が長すぎるので、物理的な負担を強いられていた。

それに加えて、3軒となりの家のご主人の息子さんは高校の時から付き合っているカノジョと婚約して結婚準備をしているのに、ひろかずはゆかこのワガママのために何もかもをガマンして、中学卒業から24年間タダノの工場で1年ごとに書面更新の契約社員を続けてきた。

お給料が極力少ないから、お嫁さんが来てくれないと言うてイライラとしていた。

オレは…

なんのために…

タダノの工場へシューショクしたのであろうか…

通勤手当てなどの手当てが充実していますよと言うからシューショクしたのに…

雇い入れ通知書に書かれていることとゼンゼン違うことになっているじゃないか…

どんなにがんばっても、お給料は9万円のまま…

いつになったらお給料あげてくれるねん…

いつになったら正社員になれるねん…

24年間…

ゆかこのワガママのために何もかもガマンして働いていたのに…

ゆかこはワガママばかりをこねているので…

許すことができない…

ひろかずは、そんなことを想いながら瓦町駅の本線から志度線へつながる長すぎる通路を歩いていた。

ところ変わって、屋島西町の国道11号バイパス沿いにあるNIKKO(パチンコ店)にて…

ゆかこの父親は、毎日シューカツに行くと家族にウソを言うて、パチンコ店に行って、パチスロにのめり込んでいた。

この日も、朝9時の開店時刻からお目当てのパチスロ台にいて、パチスロに夢中になっていたが、パチンコ球がなくなったのと同時にサイフの中に入っていた1000円札もなくなっていた。

ゆかこの父親は、となりの台に座っている男性客が大量にパチンコ球を大量に出していた。

ドル箱30箱に大量の球がぎっしりとつまっていた。

それから120分後のことであった。

となりの台に座っていた男性客が、お昼ごはんを食べるために席を離れていた。

ゆかこの父親は欲に目がくらんでしまったので、ドル箱を盗んでいた。

ゆかこの父親は、ものすごく頭にきていたので、盗んだドル箱につまっている球でパチスロ遊びをしていた。

おり悪く、お昼ごはんを食べ終えて帰ってきた男性客に見つかったので大ゴトになってしまった。

「ああ!!オドレ何しとんや!!人が出したパチンコ球を返せや!!」
「勝手に持ち出したんじゃないのだよぉ…ちょっと借りていただけなんだよぉ…」
「やかましいオドレ!!人が出したパチンコ球を勝手に持ち出して何がちょっと借りていただけなんだよぉじゃ!!オドレふざけるな!!ワーーーーーーーーッ!!」

(ドサッ!!ザーーーーーーーーーーーッ!!)

ゆかこの父親は、男性客に突き飛ばされて倒れてしまった。

この時、2台先の台に座っている男性客が大量に出したパチンコ球が入っているドル箱7箱をひっくり返してしまったので、男性客が激怒して、ゆかこの父親に食って掛かった。

「オラオドレ!!何しとんや!!」
「ああ!!すみません…すみません…すみません…」
「ふざけるな!!オドレはオレにゴロ(ケンカ)ふっかけたからこらえへんけん!!ワーーーーーーーーッ!!」

(ガツーン!!ガツーン!!ガツーン!!ドサッ!!ザーーーーーーーーーーーッ!!)

ゆかこの父親は、男性客に殴られて倒れてしまった上に、向かいの台に座っている男性客が大量に出したパチンコ球が入っているドル箱をひっくり返してしまった。

「オラオドレ!!よくもパチンコ球をひっくり返したな!!」
「すみません…すみません…」
「ふざけるなよ!!」

この後、店内ではドカバキの大ゲンカが繰り広げられていたので、きわめて危険な状態におちいってしまった。

ゆかこの父親と乱闘騒ぎに加わった男性客8人は、ケーサツへ連行された。

ゆかこの父親は、パチンコ球を盗んだので窃盗罪ケーサツに逮捕された。

乱闘騒ぎに巻き込まれた男性客は、大ケガを負いまして、ボロボロに傷ついてしまった。

ゆかこの父親は、警察署の留置場の中で『こんなはずではなかった…』と思って悔やんでいた。

こんなはずではなかった…

こんなはずではなかった…

オレ…

生きて行くことに疲れてしまった…

オレの人生は…

もう…

終わってしまった…
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