【女の事件】十三日の金曜日
第9話
その頃であった。

久通は、よしえと一緒に高松市福岡町にあるイオンの中のマクドにいて晩ごはんを食べていた。

ふたりは、グラコロのセットを食べながらふたりが今後どのようにして暮らして行くのかを話し合っていた。

「久通さん…奥さまとの離婚のことについてだけど…どうなっているのかなぁ。」
「ふきことオレは…婚姻届けは出していないよ…よしえとオレはいつでも入籍できるようになっているから大丈夫だよ。」
「入籍していなかったのだ。」
「ああ…オレは上司がどーしてもと言うから仕方なくお見合いをして、仕方なく結婚を了承しただけや。」
「そうだったのね。」
「ああ…オレはいつでもよしえと入籍することができるようにと思って、オレの戸籍抄本をこっち(高松)へ移しておいた…よしえの戸籍抄本はどうなっているのかな?」
「アタシも…戸籍抄本をこっち(高松)へ移したわ…」
「それじゃあ、明日、婚姻届けを市役所へ出しに行こうか?」
「ええ、もちろんよ。」

よしえは、のみかけのコカ・コーラを一口のんでから久通に『ラブホへ…行こうか…』と言うた。

それから120分後のことであった。

ところ変わって、詰田川沿いにあるラブホにて…

ふたりはベッドの上で、生まれたままの姿になって激しく抱き合っていた。

「ああ…久通…キスでふくよか過ぎる乳房をむさぼってぇ…ああ…ああ…」
「よしえ…」
「ああ…久通…」

ふたりは、一晩中ベッドの上で激しく抱き合って愛を確かめあった後、そのまま眠っていた。

翌朝、ふたりは高松市の市役所へ行って婚姻届けを提出した。

久通とよしえは、勝ち誇った表情でふきこと別れることができたと大喜びをしていた。

それから3日後の1月30日のことであった。

場所は、番町にある久通が勤務している職場にて…

久通は、いつも通りにお仕事をしていた。

この時に、広永さんが久通が座っているデスクにやって来て『お話があるけどいいかな?』と言うて、久通に話しかけてきた。

「久通さん…ちょっといいかなぁ?」
「あっ、課長。」
「ああ、そのままでいいから聞いてくれるかなぁ…久通さん…4月1日からのことだけどねぇ…大阪の本店の人事の人が、久通さんを正社員に登用したいと言うているので、4月1日付けで正社員で再雇用になったことを伝えておくから…」
「課長。」
「どないしたんや?うれしくないのか?」
「いえ…」
「それだったらええやない…4月からは川之江の実家を離れて暮らすことができるのだぞ…ふきこさんも長い間おじいさまの介護を続けてきたので…ご両親もふきこさんにもうしわけないことをしてしまったと思っているし、4月からは家族3人で暮らすことができるのだぞ。」
「課長…大阪へ行ったあとはどこで生活をすればいいのでしょうか?」
「住まいのことは心配するな…ワシの知っている人に頼んどくから…住まいは光明池(堺市)の駅のすぐ近くにある公営マンションを手配しておくから…家財道具は中古で使える分をもろて来るから心配するな…4月からは正社員で再雇用になるのだから元気な顔をしてがんばるのだよ。」

広永さんは、久通の肩をポンポンとたたいた後にうれしい表情でデスクに戻って取引先に電話をしていた。

しかし、久通自身の気持ちは大阪の本店に正社員登用で異動することに激しい不満を抱いていた。

広永さんがふきことひろつぐと3人で仲良く暮らして行くことができるようになったので、安心したと言うていたが、久通は広永さんにふきこと入籍していないことを言えなかったので困り果てていた。

広永さんは、久通がふきことひろつぐと仲良く暮らしていると思っていたので、本店への異動話をトントン拍子に進めていた。
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