愛プチ
コンプレックスガール
冒頭から唐突で申し訳ないのだが、私は今とあるラブホテルにいる。
大事なのでもう一度言う。
私は、今、ラブホテルに、いる!!!!
事の経緯はまた後で詳しく説明しよう。
まず今の状況を整理する。
只今夜の9時55分。
肝心のお相手はというと、今はシャワールームで優雅にシャワーを浴びている。
それを正座で待つ私。
私の名前は橋本亜由美27歳婚活真っ只中である。
相手の名前はわからないけれど多分25歳。
若干見た目が若かった気もするが。
大人のなりゆきでホテルまで来てしまったものの久しぶり過ぎて吐きそうだ。
大丈夫、これはトラウマを克服するためだから。
ここを突破しないと結婚どころか恋愛すらまともにできない。
頑張れ、頑張るんだ私。
ひっひっふう、、ひっひふう、、落ち着け落ち着け落ち着け私、、。
必死に気持ちを落ち着けていると
ガチャリと今最も聞きたくない音が聞こえた。
はっ!
えっ!
いや待って待って!
まだ心の準備が!!
「次、シャワーお前だぞ。」
シャワールームから出てきた彼は濡れた髪の毛をタオルでガシガシしながらこちらに寄ってくる。
だめだ、こういうの久々すぎてもう心臓がもたない、、!
「おい、聞こえてんのか?」
ボーッとして返事をするのを忘れていた。
「へ?あ、いや、すぐ行きます!」
逃げるように脱衣所に向かい、急いで服を脱ぎシャワーを浴びる。
丁寧に化粧を落として鏡をみた。
そこにはさっきとは別人が映っている。
アイプチだけでもやっぱりしようかな。。
アイプチとは一重や奥二重の目をパッチリ二重にするメイク道具で、一重の私にとっては必需品である。
いやでもそれじゃ今日ここまできた意味がない。
最近克服しようってやっと決心したんだから。
鏡の中の自分を見るたびに心が折れそうにはなるけれど、大丈夫。
大丈夫。
そう何回も呪文のように心の中で唱える。
ドアにかけた手が震える。
さっきとは全く違う種類のドキドキが私を襲い、固まったまま動けない。
一重のまま人に会うのがこんなに怖いなんて。
震える手でドアノブをギュッと握った瞬間、勢いよくドアが勝手に開いた。
「ちょっと風呂場にイヤフォン忘れた。」
すぐ目の前に綺麗なイケメンの顔がある。
ドアが開けられた瞬間ピタリと止まっていた時間と心臓のバクバクが再び激しく動きだした。
「あ、っあの、わた、わたし、
やっぱり帰りますごごごごめんなさい!」
目の前に立ち塞がるイケメンの横をすり抜け急いで自分の鞄と上着を取る。
「は?え?
ちょ、おい!!」
イケメンは何が起こっているのか事態が良く飲み込めないらしい。
そりゃそうだ。
お互い合意の上でラブホテルまできたのにシャワーだけ浴びて帰るなど普通ならありえない。
1万円もあれば部屋代は足りるだろう。
引き止める声には振り向かず財布から1万円をぬき、ベッドの上に置いて走って部屋を出た。
何も考えなくて良いように全速力で走る。
冬の冷たい夜の空気が、混乱したままただ走る私を少しずつ冷静にさせた。
駅のトイレに駆け込みとりあえずいつものようにアイプチで目を二重にする。
鏡の中の自分をみて小さくため息をついた。
「何やってんだ私は。」
ポロリと溢れた言葉は、溢れてそのまま私を刺した。
本当にいい歳こいて何やってんだ。
大事なのでもう一度言う。
私は、今、ラブホテルに、いる!!!!
事の経緯はまた後で詳しく説明しよう。
まず今の状況を整理する。
只今夜の9時55分。
肝心のお相手はというと、今はシャワールームで優雅にシャワーを浴びている。
それを正座で待つ私。
私の名前は橋本亜由美27歳婚活真っ只中である。
相手の名前はわからないけれど多分25歳。
若干見た目が若かった気もするが。
大人のなりゆきでホテルまで来てしまったものの久しぶり過ぎて吐きそうだ。
大丈夫、これはトラウマを克服するためだから。
ここを突破しないと結婚どころか恋愛すらまともにできない。
頑張れ、頑張るんだ私。
ひっひっふう、、ひっひふう、、落ち着け落ち着け落ち着け私、、。
必死に気持ちを落ち着けていると
ガチャリと今最も聞きたくない音が聞こえた。
はっ!
えっ!
いや待って待って!
まだ心の準備が!!
「次、シャワーお前だぞ。」
シャワールームから出てきた彼は濡れた髪の毛をタオルでガシガシしながらこちらに寄ってくる。
だめだ、こういうの久々すぎてもう心臓がもたない、、!
「おい、聞こえてんのか?」
ボーッとして返事をするのを忘れていた。
「へ?あ、いや、すぐ行きます!」
逃げるように脱衣所に向かい、急いで服を脱ぎシャワーを浴びる。
丁寧に化粧を落として鏡をみた。
そこにはさっきとは別人が映っている。
アイプチだけでもやっぱりしようかな。。
アイプチとは一重や奥二重の目をパッチリ二重にするメイク道具で、一重の私にとっては必需品である。
いやでもそれじゃ今日ここまできた意味がない。
最近克服しようってやっと決心したんだから。
鏡の中の自分を見るたびに心が折れそうにはなるけれど、大丈夫。
大丈夫。
そう何回も呪文のように心の中で唱える。
ドアにかけた手が震える。
さっきとは全く違う種類のドキドキが私を襲い、固まったまま動けない。
一重のまま人に会うのがこんなに怖いなんて。
震える手でドアノブをギュッと握った瞬間、勢いよくドアが勝手に開いた。
「ちょっと風呂場にイヤフォン忘れた。」
すぐ目の前に綺麗なイケメンの顔がある。
ドアが開けられた瞬間ピタリと止まっていた時間と心臓のバクバクが再び激しく動きだした。
「あ、っあの、わた、わたし、
やっぱり帰りますごごごごめんなさい!」
目の前に立ち塞がるイケメンの横をすり抜け急いで自分の鞄と上着を取る。
「は?え?
ちょ、おい!!」
イケメンは何が起こっているのか事態が良く飲み込めないらしい。
そりゃそうだ。
お互い合意の上でラブホテルまできたのにシャワーだけ浴びて帰るなど普通ならありえない。
1万円もあれば部屋代は足りるだろう。
引き止める声には振り向かず財布から1万円をぬき、ベッドの上に置いて走って部屋を出た。
何も考えなくて良いように全速力で走る。
冬の冷たい夜の空気が、混乱したままただ走る私を少しずつ冷静にさせた。
駅のトイレに駆け込みとりあえずいつものようにアイプチで目を二重にする。
鏡の中の自分をみて小さくため息をついた。
「何やってんだ私は。」
ポロリと溢れた言葉は、溢れてそのまま私を刺した。
本当にいい歳こいて何やってんだ。
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