愛プチ
「お前ほんとにファイミューできるんだよな?
嘘だったらまじで家追い出すから。」

「いや、できます!(多分)できます!(恐らく)」
ファイミューは元カレがめちゃくちゃやりこんでいて私もしつこくやらされたりしてたからな・・。
あの時はゲームじゃなくて私をかまってよの精神で若干メンヘラ化した覚えがある。
若かったな・・。

自分の中ではもう二度とやることもないだろうと思っていたがこんなところで役に立つとは・・。
若干のブランクはあるけど。

「で?お前の条件なんだっけ。
顔面みればいいの?」

「顔面っていうか、私いっつもアイプチっていう道具で目を二重にしてるんですけど、私のアイプチなしの一重ですっぴんの顔を毎日数分見てほしいんです。」

「なんで。」

「いや、なんでって・・まあちょっとそれは色々理由があって・・。」

私の作戦では、一重の顔を男の人に見てもらって少しずつ慣らしていこうという考えである。
最初は数分で、徐々に日に日に時間を延ばしていく。
何故兄である隼人さんではなく美月君なのかというと、昨日のキスが本気で割とゾッとしたから。
どきっじゃないからね。
ぞっとしたから。ほんとに。
あれやってドキッてするの少女漫画だけだから。
いや、少女漫画でも怪しいけど。

とにかく昨日の出来事で隼人さんは私の中で割と要注意人物になっている。
時間さえ気を付ければ普段家で会う事もないし、そこまでこれからの生活に支障はきたさないだろうけど。

「理由はまあどうでもいいや。
とにかく顔みりゃいいんだろ。」

俯きがちにまだソファーの後ろで座り込む私の目の前に美月君がやってくる。

ちょっとまって、いきなり?!
いや、自分からいったんだけど、急にすぎない?!

いや、心の準備は死ぬほどしただろ。

「はやくこっち向けよ。」

顎をつままれぐいっと顔をあげられ、ばっちりと間近で目が合った。

これが・・世にいう顎クイ・・・。
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