愛プチ
「・・めんなさい。」
「え?」
「ごめんなさい・・。」
そう言って覆いかぶさる進藤さんを避け、帰る身支度をする。
何も分からないまま引き留めようとする進藤さんにひたすら謝り続け、料金だけをおいて部屋を飛び出た。
デジャヴ。
この前と圧倒的に違う事は、体の震えが止まらないということ。
アイプチだけじゃなかったんだ。
私のトラウマ。
自分が思っているよりずっと深刻だった。
朦朧としたまま家に帰ると、運が悪い事に美月君がリビングに丁度いた。
「思ったより全然早いじゃねーか。」
今晩は遅くなると言っていたので驚いた顔で私を見ている。
今は誰にも会いたくない。
静かにペコリと頭だけを下げ、リビングのドアをしめようとすると、彼に右手をがっちりとつかまれた。
「・・お前、顔色悪いぞ。
デートで何かあったのか?」
「別に、なにもないですよ。
ただ疲れてるので・・。」
お願いだから今踏み込んでこないでくれ。
今踏み込まれたら。
必死に築き上げてきたトラウマの防波堤が決壊してしまう。
「じゃあ、なんで震えてんだよ。」
「・・かりません。
私にだって・・わかりません。」
静かな沈黙の中絞り出した声は、とぎれとぎれになってしまった。
緊張の糸が切れたようにペタリとリビングの床にしゃがみこむ。
ぽろぽろと涙が頬を伝った。
「なんで、なんでうまく行かないんでしょうか。
向き合ってるつもりなのに、向き合ってきたつもりなのに、どうしても一歩先が怖くて、、
いつになったら、平気になれるの。」
子供のように泣き出した私に対し、美月君はあきれるでもいつものように憎まれ口をたたくでもなく、ただ傍でじっと私の手を握ってくれていた。
何も言わず、落ち着くまでずっと。
「え?」
「ごめんなさい・・。」
そう言って覆いかぶさる進藤さんを避け、帰る身支度をする。
何も分からないまま引き留めようとする進藤さんにひたすら謝り続け、料金だけをおいて部屋を飛び出た。
デジャヴ。
この前と圧倒的に違う事は、体の震えが止まらないということ。
アイプチだけじゃなかったんだ。
私のトラウマ。
自分が思っているよりずっと深刻だった。
朦朧としたまま家に帰ると、運が悪い事に美月君がリビングに丁度いた。
「思ったより全然早いじゃねーか。」
今晩は遅くなると言っていたので驚いた顔で私を見ている。
今は誰にも会いたくない。
静かにペコリと頭だけを下げ、リビングのドアをしめようとすると、彼に右手をがっちりとつかまれた。
「・・お前、顔色悪いぞ。
デートで何かあったのか?」
「別に、なにもないですよ。
ただ疲れてるので・・。」
お願いだから今踏み込んでこないでくれ。
今踏み込まれたら。
必死に築き上げてきたトラウマの防波堤が決壊してしまう。
「じゃあ、なんで震えてんだよ。」
「・・かりません。
私にだって・・わかりません。」
静かな沈黙の中絞り出した声は、とぎれとぎれになってしまった。
緊張の糸が切れたようにペタリとリビングの床にしゃがみこむ。
ぽろぽろと涙が頬を伝った。
「なんで、なんでうまく行かないんでしょうか。
向き合ってるつもりなのに、向き合ってきたつもりなのに、どうしても一歩先が怖くて、、
いつになったら、平気になれるの。」
子供のように泣き出した私に対し、美月君はあきれるでもいつものように憎まれ口をたたくでもなく、ただ傍でじっと私の手を握ってくれていた。
何も言わず、落ち着くまでずっと。