愛プチ
ようやく落ち着いた私は、リビングのソファで美月君の作ってくれたホットミルクを飲みながら今日のデートの経緯を話した。

「要するに、また俺のときみたいに逃げ帰ってきたってわけ?説明もなしに?
めちゃくちゃ最低じゃん。」

今日は少し優しすぎると思っていたけど、やはり美月くんは美月君だな。
とげのある部分は変わらない。
そして今回に関しては正論すぎて言い返せない。


「ですよね・・・。」

「ていうか、そのトラウマってなんなんだよ。
しょうもない事なんかはやく忘れればいいだろ。」

ごもっともな意見である。

そもそも私自身自分がここまで引きずってしまっていることに驚いてもいる。

ていうかトラウマについて誰かに話した事ってなかったな。
しんどいし、思い出したらそれこそ発作ものだったから。

でも、今なら、このホットミルクがあれば話せるかもしれない。
今まで向き合ってきたつもりで、全然向き合ってこれてなかったのかもしれない。

「少し長くなるけど、聞いてくれますか。
私の過去の話。」

彼の目をまっすぐ見つめ、そう切り出した。

手に持つホットミルクがあたたかいうちに話してしまおう。
向き合おう。

過去のトラウマと。
私自身と。
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