愛プチ
あれは数年前、私が24歳でまだおばあちゃんと住んでいた時。
高校を卒業してから、社会人になると同時に段々と化粧を覚え、友達に伝授されたアイプチという化粧品に衝撃を覚えた。
そこからどんどん化粧の魅力にはまり、私は更に腕を磨いていった。
アイプチをしてから人からお世辞でも可愛いと言ってもらえることが多くなり、徐々に全くなかった男友達や知り合いからのデートの誘いも徐々に増えた。
そして22歳の時に私のトラウマを作った歳上の彼氏ができる。
当時は一つ年上というだけですごく大人にみえた。
性格は明るくて元気、それにくわえて優しいところが好きだった。
早めの段階でアイプチをしているということは彼にカミングアウトはしていたが、アイプチを取った姿を怖くてみせる機会はなかなかなかった。
アイプチを取ったすっぴんを歴代の彼氏にそれまでみせたこともなかったし。
なにより、いくら性格が好きと言ってくれていても、入りはこの二重ありきの顔なのである。
初めからアイプチをしていなければ絶対に始まらなかった恋。
でも1年2年と月日を重ねていくごとに、相手への信頼も増す。
この人ならみせてもいいかもしれない。
そう思ったのが間違いだった。
いや、今思えばもっと早い段階でみせておけばよかったんだと思う。
口で大丈夫というのと、実際に目で見て感じるのとではかなりの大差があるのだから。
2年記念日の夜、一緒に晩御飯を食べ、その後ホテルに向かった。
相手のあきら君が先にシャワーを浴び、ベッドで私を待っているなか、いつもならシャワーを浴びてすぐにするアイプチをしなかった。
というのも記念日の1カ月前くらいからずっと私のアイプチなしの素顔をみせてほしいと言われていたし、2年記念日には絶対にみせるという約束をしていたから。
あきら君なら大丈夫。
2年も付き合ってきたし彼の事はよく知っているつもりだった。
こんなことで今までの2年間全てがなくなるような私達じゃない。
そう信じ、アイプチをしないまま彼のいるベッドまで戻った。
私の顔をみて数秒固まったあと、気を使うように彼が笑った。
「ずっとみたいって言っててやっと見せてくれたね!
ていうか全然大丈夫いけるいける!」
可愛いではなくいけると何度も言い聞かせるように言った彼の言葉に少し胸を痛めたが、知らないフリをした。
知らないふりをしたまま彼の胸に飛び込み、いつもと同じキスをする。
いつもより短い気がしたのを気のせいだと必死に心にいいきかせながら、そのままの流れで彼にベッドに押したおされた。
そこでようやくちゃんと彼と目があった気がする。
私を真上から見下ろした彼はじっと固まっていた。
「あー。ごめん、ほんとごめん。
やっぱブスだな。全然勃たない。」
「・・え?」
豹変した態度に戸惑いを隠せないままそそくさと帰りの支度をはじめる彼をただ見つめることしかできなかった。
「ほんとごめん、今までの亜由美と違いすぎて、無理だわ。
なんか裏切られてた気分。トラウマになりそうまじで。」
「ちょっと待って、どういう事・・なんでそんな急に?」
「ごめん、別れて。」
ベッドで座って動けないままの私に目もくれず、彼は部屋をでていった。
高校を卒業してから、社会人になると同時に段々と化粧を覚え、友達に伝授されたアイプチという化粧品に衝撃を覚えた。
そこからどんどん化粧の魅力にはまり、私は更に腕を磨いていった。
アイプチをしてから人からお世辞でも可愛いと言ってもらえることが多くなり、徐々に全くなかった男友達や知り合いからのデートの誘いも徐々に増えた。
そして22歳の時に私のトラウマを作った歳上の彼氏ができる。
当時は一つ年上というだけですごく大人にみえた。
性格は明るくて元気、それにくわえて優しいところが好きだった。
早めの段階でアイプチをしているということは彼にカミングアウトはしていたが、アイプチを取った姿を怖くてみせる機会はなかなかなかった。
アイプチを取ったすっぴんを歴代の彼氏にそれまでみせたこともなかったし。
なにより、いくら性格が好きと言ってくれていても、入りはこの二重ありきの顔なのである。
初めからアイプチをしていなければ絶対に始まらなかった恋。
でも1年2年と月日を重ねていくごとに、相手への信頼も増す。
この人ならみせてもいいかもしれない。
そう思ったのが間違いだった。
いや、今思えばもっと早い段階でみせておけばよかったんだと思う。
口で大丈夫というのと、実際に目で見て感じるのとではかなりの大差があるのだから。
2年記念日の夜、一緒に晩御飯を食べ、その後ホテルに向かった。
相手のあきら君が先にシャワーを浴び、ベッドで私を待っているなか、いつもならシャワーを浴びてすぐにするアイプチをしなかった。
というのも記念日の1カ月前くらいからずっと私のアイプチなしの素顔をみせてほしいと言われていたし、2年記念日には絶対にみせるという約束をしていたから。
あきら君なら大丈夫。
2年も付き合ってきたし彼の事はよく知っているつもりだった。
こんなことで今までの2年間全てがなくなるような私達じゃない。
そう信じ、アイプチをしないまま彼のいるベッドまで戻った。
私の顔をみて数秒固まったあと、気を使うように彼が笑った。
「ずっとみたいって言っててやっと見せてくれたね!
ていうか全然大丈夫いけるいける!」
可愛いではなくいけると何度も言い聞かせるように言った彼の言葉に少し胸を痛めたが、知らないフリをした。
知らないふりをしたまま彼の胸に飛び込み、いつもと同じキスをする。
いつもより短い気がしたのを気のせいだと必死に心にいいきかせながら、そのままの流れで彼にベッドに押したおされた。
そこでようやくちゃんと彼と目があった気がする。
私を真上から見下ろした彼はじっと固まっていた。
「あー。ごめん、ほんとごめん。
やっぱブスだな。全然勃たない。」
「・・え?」
豹変した態度に戸惑いを隠せないままそそくさと帰りの支度をはじめる彼をただ見つめることしかできなかった。
「ほんとごめん、今までの亜由美と違いすぎて、無理だわ。
なんか裏切られてた気分。トラウマになりそうまじで。」
「ちょっと待って、どういう事・・なんでそんな急に?」
「ごめん、別れて。」
ベッドで座って動けないままの私に目もくれず、彼は部屋をでていった。