愛プチ
なんだか、帰る気力もないな・・。

ぼーっと空を眺めていると、また雨足が強くなってきた。
もうびしょ濡れだし、今更関係ないんだけど。

なんだか、帰る気にもなれない。
ただひたすら虚しくて悲しい。

心のどこかで受け入れてくれるんじゃないかと期待していた。
一重でも可愛いよって、進藤さんなら言ってくれるんじゃないかと。

自惚れだ。
恥ずかしい。

本気で向き合おうとしても、逃げられてしまえば意味がない。
また、私は前にすすめなかった。
せっかく本気で好きな人ができたのに。
また、逆戻りだ。

なにこれ、何かの罰ゲーム?

なんで、一重みられて振られてしかも、豪雨の中帰らなきゃなんないの。

頬が濡れすぎていてもはや雨なのか涙なのかもわからない。
とにかくこの公園からでよう。

ここにずっといるのは耐えられない。

とぼとぼと俯きながら雨の中を歩きだす。

馬鹿みたいだな。
本当に。
一人で凹んだり浮かれたり、過去に振り回されたり。

ぐっと唇をかんだ瞬間、雨が止んだ。

いや、やんだというか、ここだけやんだ。
自分の周りだけ雨が降っていない。

「なんで・・?」
不思議に思って恐る恐る顔を上げると、息をきらした美月君がそこにいた。

「なんで美月君がここに・・。」

「雨、降ってきたから。
お前傘持ってねえと思って・・。

兄貴からちょっと用事頼まれてたせいで間に合わなかった、悪い。」

そういえば美月君に公園の場所聞いたんだっけ・・。
だから私の居場所が分かったのか。

「美月君が謝ることじゃないし・・・それに、もう振られたから。」
涙に滲んで声が震えてしまう。

泣いてるとこなんてもうみられたくないのに。

再びぎゅっと唇をかみしめると、ふわりと暖かい感覚がした。

何が起こったのか、状況がうまく把握できない。
男の人のがっちりした腕が、私をつつみこみ、目の前には、厚い胸板。

美月くんに、抱きしめられていた。
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