愛プチ
濡れているせいで外の空気がものすごく冷たく感じる。

ていうかどうしようどうしよう!!!
勢いにまかせてとんでもないことをしてしまった!!
私なんであんなことしちゃったんだろう!

しかも捨て台詞がただの自己紹介って。。!
あほが丸出しすぎる。。!!

かっこ悪すぎる上にとんでもないことをしてしまった。

まず、こんなことって現実にあるんだ。
ドラマの世界だけの出来事だと思ってた。

普段私が怒ることはないし、多少の嫌なことも笑って流せる。

でも、あのまま帰れと言われてそのまま帰るのはあまりにも今日の自分が可哀相だと思った。

惨めな思いには慣れちゃいけない。

慣れちゃいけないんだ。

あの時の私は多分間違ってはいない。
やり方はちょっと荒っぽかったけれど。


それに今度こそ、もう二度と会うことはないだろうし!

今回はたまたまのたまたまで偶然会ってしまったけれど。
大学生なんかと普段絶対出会わないし。

大丈夫。
今度こそ今日の事も先週の事もきれいさっぱり忘れよう。


走りながらぐるぐると今日の出来事を頭の中で整理しているうちにどんどん私の住んでいるマンションに近づいていく。

今日はさりなが気を使って近くで合コンをしてくれたから電車も車も乗らずに楽に帰れた、助かった!

とにかくとても疲れたから、早く家に帰ってなにも考えずにただただ眠りたい。

はやく、早く自分の部屋のベッドにダイブしたい。


しかし最後の曲がり角でなんだか騒がしいことに気付く。


なに?
なんか事故でもあったのかな?


走るのをやめて息を整えるようにマンションの方へ歩いていく。

なんか焦げ臭い。。

それにあの消防車と人だかり。。


そんなまさか。

まさか、ね、そんなわけ、、。


人だかりの一番後ろから自分のマンションの部屋を見上げる。

「も、燃えてる、、。」

うそでしょ。。

呆然と立ち尽くすことしかできない。


皆が喋っている声を盗み聞きする限りでは、けが人も取り残されている人もいないらしく、そこはかなりホッとした。

しばらくして火は消されたが、私の住んでいる二階の部屋はとてもじゃないが住める状態ではなくなってしまったらしい。


さっきの修羅場がちっぽけに思える、、こっちの方がよっぽど修羅場だな。

ていうかまず私部屋どうしよう。。


実家に帰るか、、。

いやでも遠いしな。。


本当は近くにもう一つ家があるけれど、できればそこにはいきたくない。

しかし今はそんなことを言っている場合でもない。

「しょうがないよね。。
とりあえずしばらくの間だけ。」


カバンの紐をぎゅっと握って方向転換をした。

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