キミは当て馬、わたしはモブ。


 なんでわたしが帝塚くんのことを気にするのかって?


 そんなの、そんなの!



「わかんないよ!」


「……!」


「なんか気になったんだからしょうがないじゃん! はっきりした理由なんてないから!」


「それは……アカネさんと中村のこと以上にですか?」


「わかんないって言ってるでしょ!」


「……………」



 帝塚くんは黙りこくってしまった。


 今のは、ちょっとだけ嘘だ。


 推しカプのことなんかより、ずっと帝塚くんのことを考えている。


 ここまで気付いておいて、わからないわけがない。


 理由だって明確。


 ――帝塚くんが、帝塚くんだけが、わたしのみのるくんへの気持ちを否定しなかったから。


 それが信じられないくらい嬉しかったんだ。



「俺も……」



 声が降ってくる。


 ぼそぼそと、自信のなさそうな声色。





「俺もわかりません。どうして今こんなに残念な気持ちになっているのか……佐久良に、もっと俺のことを考えてほしいと思っているのか」





「…………………………っはぁ!?!?!?」



 自分が何言ったかわかってるの!? この人!

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