キミは当て馬、わたしはモブ。
「和花ちゃん、帰ろー!」
アカネちゃんが後ろから抱きついてきて、「わっ」と声が出た。
「ねね、どっか寄っていかない? あっ! 駅前のファミレスが栗フェアやってて、すっごく美味しそうなパフェがあるんだよね!」
キラキラした目を向けられて、心が浄化されたみたいに潤う。
何回見てもキュンとくるよ、この笑顔……!
せっかくアカネちゃんと二人で話せる機会があるんだし、ここは楽しんでおこうかな。
……帝塚くんのことが気にならないと言えば、嘘になるけど。
「へへ……なんか嬉しいね! 二人っきりって初めてだよね」
「うん、そうだね」
隣に並んで歩く帰り道は、いつもより少し緊張する。
鼻から吸った空気が冷たく澄んでいるように感じるのは、アカネちゃんの浄化パワーによるものだろうか。
いつもは少し見上げるくらいだった帝塚くんの目線に対して、今日は少し下くらいの高さ。隣を見ればアカネちゃんの顔があって、目が合うたびにドキッとしてしまう。
前後ろの盗み聞きするだけの立場だったのに、肩を並べられるようにまでなるなんて……。
アカネちゃんと友達になるべきか悩んだときもあったけど、なってよかったって思える。